5周年記念8連続ミニ個展 vol.2金城オサム木の器展

<シークワーサー樹皮丸鉢>


作品展を前に、オサム工房を訪問しました。

オサムさんはコザ市生まれ。20代のときに両親の出身地である喜如嘉で木工工房を始めます。

当初はおもちゃ、キーホルダーなど色々作っていましたが、20年前に旋盤に特化。

特化することで、必然的にこの分野を深く追究することになります。

オサムさんは、木の形を活かした変わった造形が面白くなっていったそうです。

飄々とした気のいいおじさん、という風情ですが、沖縄本島北部で40年近く木工作家として仕事を続けてきた道は決して平坦ではなく、

始めた当初は思うように物が作れなくて焦ったり、子育て中は借り入れの返済も重なり、一人の工房で不安定な作家活動でかなり厳しい時期もあったけれど、別の仕事を始める誘惑に抗い、ギリギリの生活をしながらやめずに木工を粘り強く続けたことが今につながっているとのこと。

余談ですが、去年もう少し規模の大きい展示会を開催したときにはオサムさんも在廊してくれたのですが、たくさんの人が入れ替わり立ち替わりオサムさんに会いに来ていて、やりとりを小耳にはさみながら、いろんな人をお世話してきたのだなあと感銘を受けたのでした。沖縄の旋盤では第一人者で、長年指導もされているので、頼れる存在なのですね。

オサムさんの材料はほぼすべて地元産ですが、それらはほぼ、向こうから歩いてやってくるそうです。

つまり、オサム工房のことを知っている人が、庭木を切ったり不要な材料が出たときに、「いらんか?」と連絡して来るんです。

いつも同じ材料があるわけではないし、綺麗にそろった木ばかりではないですが、そこも材料に合わせた作品作りに情熱を注いでいるオサムさんにぴったりです。

シークワーサー、フクギ、ヤラブ、クワなど庭や畑や街で人の営みの近くで育った身近な材料。

これらが自然なサイクルで器という身近な存在に仕立てられる。

それを日常生活で使うことで山原の集落や自然がより身近に感じられる。

それに加えて、オサムさんの、手元の材料でいかに面白いものが作れるかというものづくりの熱意は、定番のコップからも、大胆なオブジェからも、ひとつひとつ木目が異なる作品から感じ取ることができる。

こうして作家さんにお話を直接伺うと、私たちが日常的に工芸品を使う意味合いがより深まります。

明日から1週間、オサム工房ミニ個展、ぜひご覧ください!

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